活動報告

2024.12.19 COIL

ハワイ大学マノア校のKyle Kajihiro先生によるCOIL型講義を実施

Inter-island Sustainability Lecture Series #3

この秋より開始した Inter-island Sustainability Lecture Series の第3回目として、ハワイ大学マノア校のKyle Kajihiro氏を講師として招き、「英米文学概論」(科目担当:山里絹子(国際地域創造学部・准教授))の授業において、COIL型講義を実施しました。

【タイトル】Ke Awalau o Pauʻuloa to Pearl Harbor: Narratives of Transformation and Resistance(プウロア湾から真珠湾へ:転換と抵抗のナラティブ)
【講 師】Kyle Kajihiro(ハワイ大学マノア校 社会科学部、エスニック・スタディーズ学科、助教)
【日 時】2024年12月19日(木)12:50~14:20
【方 法】Zoomによるオンライン開催
【概 要】
本講義では、ハワイにおけるプウロア湾(Ke Awalau o Puʻuloa)、現在「真珠湾(Pearl Harbor)」として広く知られる土地の歴史的変遷や文化的抵抗の物語が取り上げられました。この地域は、かつてハワイ語で「Ke Awalau o Puʻuloa」と呼ばれ、豊かな自然と文化的意義を持つ地として知られていました。しかし、アメリカのハワイへの侵攻と支配が進む中、1887年の「銃剣憲法(Bayonet Constitution)」や1884年の「第二次互恵条約」により、真珠湾の軍事利用が進行しました。1893年にはハワイ王国がアメリカの支援によって転覆され、主権が失われ、現在に至ります。

また、真珠湾の守護神であるサメの女神Kaʻahupāhauの伝説が紹介され、ハワイ先住民の自然との深い結びつきと抵抗の象徴として語られました。その例として、1909年の乾ドック建設中の崩壊事故があげられ、当時の人々は偶発的な事故ではなく、Kaʻahupāhauの怒りによるものと解釈したそうです。その後、米西戦争(1898年)以降、アメリカ本国にとって真珠湾は軍事拠点として重要な役割を果たし、第二次世界大戦中も戦略的要地として利用されました。

現代では、Red Hill燃料漏洩事件により、真珠湾の帯水層とホノルルの水源が汚染されるなど、大きな環境問題が発生しています。このように、真珠湾の歴史は植民地化、軍事化、環境破壊に対する抵抗の物語でもありました。その流れに抗うために、文化的表現や地域社会の活動が数多く行われており、先住民のアイデンティティや持続可能な未来への意志を示すことによって、ハワイの伝統と環境の回復が目指されています。本講義は、真珠湾の文化的・環境的意義を再認識し、歴史的抵抗と現代の課題への対処を通じて、未来への教訓を探る内容でした。

参加学生からは、多くの質問や感想が寄せられました。ハワイでの「真珠湾」の歴史教育の現状や、講師のKyle Kajihiro先生が日系移民・入植者として感じている責任についての関心が示されました。また、Kajihiro先生からの「沖縄の場合はどうか?」という問いかけを受け、自身の土地との比較を通じて深く考える機会となったとの感想が多く寄せられました。

Inter-island Lecture Series

第1回:元ハワイ沖縄連合会会長・琉球大学顧問のLynn Miyahira先生によるCOIL型講義を実施
第2回:カピオラニ・コミュニティカレッジのKelli Nakamura先生によるCOIL型講義を実施

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